糸東流について

 糸東流開祖 摩文仁賢和は、首里手(平安・バッサイなど)の大家・洲安恒について糸洲派を学び、後に那覇手(セイエンチン・十三など)の大家・恩納寛量に東恩納派を学びました。中学卒業後警察官になった後も、地方に隠れた首里手、那覇手以外の形・技法について模索し続け、松村派、新垣派などの各派を修め、空手以外には琉球古武道の棒術、釵術を学びました。
それら全ての技術と精神を融合、融和させたものが糸東流空手道であります。(大家の頭文字を併せた)
その技法上の特徴は、単に突き蹴りだけでなく、投げ、逆技といった技術をも含み、まさに総合武道の様相を呈するものです。

特 徴

  ★「守・破・離」(基本を忠実に・それを応用し・そこから独立する)という言葉に代表される様に、形という基本を守りながら、それを応用し、組手と結び付けていくことによって作り上げられた分解組手などに、その奥義までをも修めることが出来るように体系ずけられています。
また、精神教育に重点を置いた開祖摩文仁賢和は「君子の拳」を標榜し、円満な人格の形成・向上を目指した指導を行ない、今日までもその思いは引き継がれています。

「君子の拳」で学んでもらいたいこと

 ★まず「君子」とは?
学識・人格ともにすぐれた、りっぱな人。人格者。英国式でいうジェントルマン
★「君子の九思」(君子として常に心掛けるべき九つのこと)
1,見るときははっきり見る
2,聞くときはしっかりと聞く
3,顔つきはおだやかに
4,態度はうやうやしく
5,言葉は誠実で
6,仕事には慎重
7,疑問は質(ただ)
8,怒りにはあとの面倒を思い
9,利益を前にしては道義を思う 
以上の九つが備われば。あなたも君子!
★「君子の拳」
「君子の九思」の中の1・2で技法を学び、3・4・5により寛大な謙虚さを身に付け、6・7で律し、最後の8・9は冷静な判断力を養うことになります。
これは、空手道を学ぶ上で特に必要な事柄で、理性や本能のコントロールが出来なければ、ただの暴力と化し「君子」とは程遠いものになってしまいます。どこかの社訓のようですが、全国大会で上位に入るような選手は普通に7ぐらいまではクリアしています。残り2つは瞬時の判断力ですので経験や自信に左右されてしまいます。
このように汗と涙と挫折と達成感を繰返し経験しながら多くを学びます。今時のキレやすい子供や、ちょっとした失敗から立ち直れない人などは、九思の何れかが足りないように思います。

糸東流と糸東会

  ★昭和39年 全日本空手道連盟発足に伴い協力団体として糸東会を設立しました。糸東会とは組織名称であり糸東会に所属しない糸東流の道場は全国には沢山あります。(このような点が父兄の皆さんに理解しにくいところですね。)
したがって、正式には糸東流の空手であり糸東会に属するということになります。